4.ゼロ災運動推進3本柱

 ゼロ災運動を推進しようとするとき、「トップの経営姿勢」、「ライン化の徹底」、「職場自主活動の括発化」という基本的に重要な3つの柱がある。この3つの柱が相互に関連し合い、支え合って、ゼロ災運動は進展する。
 また、このゼロ災運動推進3本柱に働きかけ、支えていく安全衛生スタッフの役割は重要である。
 
4-1.トップの経営体制
 安全衛生はまずトップのゼロ災寄・ゼロ疾病への厳しい埠営姿勢に始まる。「働く八一人ひとりが大事だ」、「一人もケガ人は出すまい」というトソプの人間尊重の決意から運動は出発する。これはトソプが人間尊重の心を経営の基本の第一に据えて、従業員の家庭にまでノ馴-をはせ、一人ひとりの従業員の職業召三憤を安全に、かつ、健康に全うさせることこそ企業責任であると気づくことでもある。トップの意識が変わればすべてが変わる。ゼロへの発想の転換はまずトソプからである。
 
4-2.ライン化の徹底
 安全衛生を推進するには、管理監督者(ライン)が作業の中に安全衛生を一体のものとして組み込んで率先垂範して実践することが不可欠である。このことを安全衛生のライン化という。このラインによる安全衛生管理の徹底が第二の柱である。
 部下の安全衛生の確保はラインの本来的な任務である。「自分の部下は、誰一人ケガはさせない」というラインの強い決意と実践がなければ、ゼロ災運動は始まらない。部下一人ひとりをきめ細かく指導・援助するのは、ラインでなければ不可能だからである。これは「一人ひとりカケガエノナイひと」というラインの長の熱意と情熱が本物であるかどうかが、日常の細々としたことを通じて試されるということでもある。
いったん事故が起きると、日頃の安全衛生のライン管理に対する取り組み姿勢が直ちに問われて、管理費任上言い訳は許されない場合も出てくる。さらには事故の犠牲となった本人や家族に対する気骨の折れる対応が待っている。しかも、そうしたラインの長の態度を従業員(部下)全員が見ている。そして、それぞれが感じ取ったラインの長の印象がそのまま明日から職場やラインの動きに反映してくる。こうしてみると、ラインの長の日頃の率先垂範と安全衛生に対する取り組み姿勢が大変重要となる。
 
4-3.職場自主活動の活発化
 労働災害のほとんどにヒューマンエラーが伴っており、こうした場合には誰にも責任を転嫁することはできないことを働く八一人ひとりが肝に銘じておく必要がある。自分は家族や係累を持つかけがえのない存在だと気づいて、安全と健康を自分自身、ひいては仲間同士の問題としてとらえていくことからゼロ災小集団活動が始まる。特に安全上の問題にっいては、こうしたエラーする人間同士であることを出発点として、職場のチームメンバーが就業時間内にサッと、本音で話し合い、その協同努力で進めていくことが必要である。
 一人ひとりが、「自分は決してケガをするまい」、「仲間からケガ人を出さない」、そのためにみんなで「こうやろう」、「こうしよう」という決意と実践活動がなければ、職場の日々の安全を確保することはできない。
 
 職場の第一線は、意馴勺に小集団として組織されているか香かを問わず、通常何らかの小人数の集団になっている。ゼロ災運動では、安全衛生問題(危険)の解決のために、この職場自主活動-ゼロ災小集団活動-の意養と役割を重視している。